第5回

過去1年分のデータ分析

書いた人:COIの中の人

実は、2018年2月末から地道な取り組みがスタート

itoconは2020年6月に提供開始したのですが、コロナ禍の混乱の中、いち早く社会実装できたのには理由があります。実は、今より3年近く前、2018年2月末に、九大学研都市駅前において、カメラベースの混雑センシングスタートしていました。公共空間にカメラを置くのは難しかったため、昭和バスの私有地内の、キャンパス直行便がでている3、4番バス停に8台のカメラを取り付けて、車椅子や白杖など移動困難者を検知する!という研究が始まりました。この研究は、九大COIにおける「移動困難者の早期発見による乗車支援サービスの社会実装」という研究の一環で、参画機関の日立製作所の技術が使われています。その基本機能として、各カメラで検知された人の数をカウントするというものがあり、設置からこれまで3年近く、1分毎の人数データが記録されています。

1年分のデータを俯瞰

というわけで、今回は、1年以上蓄積したバス停の混雑データからわかることを共有します。実際の混雑データ(1分値)を可視化すると、下図のようになります。カメラ8台は、それぞれ検知する領域が異なるので、各カメラでの検知数の総和がバス停の混雑の目安になります。

こちらのバス停では、検知数が20人を超えると、混雑列ができている目安になります。上記は2019年4月12日の混雑状況ですが、コロナ禍の今は、およそ次のような混雑状況です。

クラスタリング分析

ここで、約1年間(2019年3月〜2020年2月)分の混雑データを数値ベクトル化し、k-meansでクラスタリングしてみました。k=4にすると、次の図のように分類することができました。

分類クラスターとしては、「講義あり平日(前期)」、「講義あり平日(後期)」、「講義なし平日」、「休日」に分類されました。前期は1時限目から来る人が多いのですが、後期になると混雑ピークが分散しているように見えます。講義の受講状況かもしれませんが、①年生が学生生活に慣れてきたから、と言えるかもしれません。

月ごとに色分け

試しに、2019年度の1年間のデータを分類して、色分けしたカレンダーで可視化すると、次のような状況でした。

今年の様子

さて、コロナ禍の今はどうでしょうか?毎日、昭和バスに乗って伊都キャンパスに来ている方は肌感覚でわかっているかもしれませんが、4月8日の緊急事態宣言以降、ほぼ休日のような状況が続いていました。8月の第2波を超えて10月以降少しずつキャンパスに人が戻ってきましたよね。

2019年と2020年の比較

それでも、1年前の混雑状況と比較すると、まだまだ日常にはほど遠いことがわかります。現在、昭和自動車さまの配慮で、バス停やバス車内が密にならないように、早朝から特別に臨時便を出すなどの対策をしてもらっていることも混雑回避の一助になっていると考えられます。

最後に

バス利用者である我々も、ItoconなどICT技術を活用して、混雑回避・時差出勤に協力し、withコロナ時代のキャンパスライフを模索しなくてはいけませんね。ちなみに12月の上旬はこんな感じで、中程度の混雑度で推移しています。